Memorandum of Haruki 'ハルキの備忘録‘

yahooさんから 引っ越してきました。どうぞよろしくお願いします。

米津玄師 の『Lemon』と文学の『檸檬』『レモン』

米津玄師 が紅白に出るということで 今年は、見てみようかな~、録画しようなんてと思っている人もいると思う。自分もその一人だ。


米津玄師『Lemon』
夢ならばどれほどよかったでしょう
未だにあなたのことを夢にみる
忘れた物を取りに帰るように
古びた思い出の埃を払う
戻らない幸せがあることを
最後にあなたが教えてくれた
言えずに隠してた昏い過去も
あなたがいなきゃ永遠に昏いまま
きっともうこれ以上 傷つくことなど
ありはしないとわかっている あの日の悲しみさえ
あの日の苦しみさえ
そのすべてを愛してた あなたとともに
胸に残り離れない 苦いレモンの匂い
雨が降り止むまでは帰れない
今でもあなたはわたしの光

暗闇であなたの背をなぞった
その輪郭を鮮明に覚えている
受け止めきれないものと出会うたび
溢れてやまないのは涙だけ
何をしていたの 何を見ていたの
わたしの知らない横顔で
どこかであなたが今 わたしと同じ様な
涙にくれ 淋しさの中にいるなら
わたしのことなどどうか 忘れてください
そんなことを心から願うほどに
今でもあなたはわたしの光

自分が思うより 恋をしていたあなたに
あれから思うように 息ができない
あんなに側にいたのに まるで嘘みたい
とても忘れられない それだけが確か
あの日の悲しみさえ あの日の苦しみさえ
そのすべてを愛してた あなたとともに
胸に残り離れない 苦いレモンの匂い
雨が降り止むまでは帰れない
切り分けた果実の片方の様に
今でもあなたはわたしの光


米津玄師の『lemon』を聞いた時 これって文学のれもんから影響を受けて作ったのかな?なんて 思っていた
あらためて 「レモン哀歌」 高村光太郎、「檸檬梶井基次郎を読んでみた。

「レモン哀歌」 高村光太郎
そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白くあかるい死の床で
私の手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
あなたの咽喉に嵐はあるが
かういふ命の瀬戸ぎはに
智恵子はもとの智恵子となり
生涯の愛を一瞬にかたむけた
それからひと時
昔山巓でしたやうな深呼吸を一つして
あなたの機関ははそれなり止まつた
写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光るレモンを今日も置かう

 1925年発表。京都の町をあてどなくさまよう肺患の学生が,ふと心ひかれたレモンを洋書店の画集の上に乗せてみる。
爆弾を仕掛けたという空想のなかに逃避する主人公の姿を通して,青春期の不安と退廃を緊張感に満ちた的確な文体で表現した作品。


昔の本は、青空文庫で読めるからありがたい。
主人公の不安定な精神状態が描かれ つかみどころのない作品だ。
それゆえにいつまでも忘れられない作品で丸善檸檬の行方が気になって仕方がなかった思いがよみがえった。



「レモン哀歌」檸檬も死を予感させる。
特に「レモン哀歌」は、米津玄師の『Lemon』とリンクする部分が多い気がする。
ずっと気になっていたので この休みでじっくりと読むことができてよかった。