『わたしを離さないで』 カズオ・イシグロ
内容(「BOOK」データベースより)
優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。
生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。
キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。
図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度…。
彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく―全読書人の魂を揺さぶる、ブッカー賞作家の新たなる代表作。
施設の内容や子供達の存在などが ぼやっとしていて イライラしながら読むが
話が進んでくるにしたがい、じわじわとその輪郭が見えてきて
最後にズド―ンと衝撃をうける。
やはりな こういう結末か!う~~ん 切ないなあ~
悲しく、恐ろしさえも感じるが、お涙頂戴的な陳腐な感情表現がなく、
奥深く精錬された文章が心地よい。
ホラー的要素も高いのだが、全くそういう感じがなく、
現実の話を聞かされているかのようでもある。
読後、心に重たいものと美しいものがいつまでも残る。
作風は全く異なるが 大江健三郎さんの読後感と似ているところがある気がする。
放牧されている食用牛、狭い牛舎で飼われいる食用牛、どちらの牛の方が幸せなんて牛に聞いてみなければ わからない。
でもどちらの命も人間は当たり前のように食べ、命を繋いでいる。
人間のエゴと科学の発達、そして命の倫理、たくさんのことを考えさせられた。
もっと ぞっとする こわ~~い作品です。
カズオ・イシグロさんの作品は 2作品めですが