『日の名残り』 カズオ・イシグロ
内容(「BOOK」データベースより)
品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。
美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。
長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々―過ぎ去りし思い出は、輝きを増して胸のなかで生き続ける。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
イシグロ,カズオ
1954年11月8日長崎生まれ。
1954年11月8日長崎生まれ。
1960年、5歳のとき、家族と共に渡英。
以降、日本とイギリスの2つの文化を背景にして育つ。
ケント大学で英文学を、イースト・アングリア大学大学院で創作を学ぶ。
1982年の長篇デビュー作『女たちの遠い夏』は王立文学協会賞を、
上品で郷愁があって、静かで 読者を惹きつける魅力のある作品だ。
一気に読んでしまうのが もったいなくて 一日一話ずつ じっくりと味わいながら読む。
主と執事の関係は 主君に対する倫理的な忠誠を尽くす武士道に通ずるものを感じた。職務のためには 私的な部分も犠牲にしていく。
しかし それは犠牲ではなく、有能で品格ある執事の当たり前のことなのだ。
疑わなかった自己の過去、特に恋愛をふり返り、その選択に戸惑う場面もあるが、これでよかったのだと 自分を納得させる執事。
夕暮れの美しさが物語に最高の花を添える。
映像化もされているようだ。