Memorandum of Haruki 'ハルキの備忘録‘

yahooさんから 引っ越してきました。どうぞよろしくお願いします。

『ふたりの証拠』 アゴタ・クリストフ






内容(「BOOK」データベースより)

戦争は終わった。
過酷な時代を生き延びた双子の兄弟の一人は国境を越えて向こうの国へ。
一人はおばあちゃんの家がある故国に留まり、
別れた兄弟のために手記を書き続ける。
厳しい新体制が支配する国で、彼がなにを求め、
どう生きたかを伝えるために―強烈な印象を残した『悪童日記』の待望の続篇。
主人公と彼を取り巻く多彩な人物の物語を通して、愛と絶望の深さをどこまでも透明に描いて全世界の共感を呼んだ話題作。




悪童日記』ほど刺激的な出来事は起きないが、これまた 一気に読了。
アゴタクリスノフさんの作品は 新鮮だ。
今までに読んだことがない文章、構成で深いものを感じる。
やはり感情表現の記載がいっさいないところがそうさせるのだろう。
感情表現のない文章で書かれた本をよむことはあるが 
単調で色気のない作品になりがちである。

しかしアゴタクリスノフさんの書く感情表現のない文章は 
それを補うために繊細な行動描写、感情描写が見事である。
しかも それが 少しもわざとらしくない。
悲しい、嬉しいという言葉がなくてもその感情が読者に伝わってくるのだ。

話の展開も読者をまんまと裏切ってくれる内容だ。
読んでいていたたまれなくなるのだが 読まずにはいられない。


1作目もそうだったように2作目のこの本も映画ロードオブザリングの終わり方のようにいいところで終わるので、もう次が読みたくて仕方がない。
よい作品をたくさん読んできたが、
この本は自分の中ではひさびさの大ヒット作品だ。


早く3作目の『第3の嘘』を読みた~~い。
高等遊民になりた~~い