Memorandum of Haruki 'ハルキの備忘録‘

yahooさんから 引っ越してきました。どうぞよろしくお願いします。

『絶望名人カフカの人生論 』  フランツ・カフカ









衝撃を受けた。
カフカの生涯が苦悩の日々だったことは なんとなく知っていたけれど 
カフカの生の言葉を読み 苦悩が伝わってきて苦しくなった。
序盤は 自虐ネタのようで クスっと笑いながら読み進めたが 
特に最後は せつない。
先日読んだ小谷野敦の本で『作家は 血を流しながら書き 読者も血を流しながら読むので心に響く作品ができる』みたいなことが書かれていたが、まさにその通りで
カフカの手紙や日記等には流血のにおいがし、読んでいて辛かった。

カフカは父親との折り合いが悪いが その場所から離れることができない。
カフカと父親は次元の違う世界に住んでいる。
だから、互いに歩みよっても交わることは不可能なのだ。
カフカは父親の次元に向かおうとするが 
そのエネルギーも資質も持ち合わせていない。
一方、父親は 自分の価値観が一番なので 
カフカのいる次元の存在すら認めようとしない。
そして、それがカフカの幸せに向かう方法だと考えている。

父親に厳しい批判をしているカフカだが 
カフカは ただ父親にありのままを認めて欲しいだけなのだ。

幼いころ、罪がなくても罰がやってきた。
罰を受けたせいで 罪悪感がわいてくる。
その罪悪感は、理由がわからないだけに、かえって打ち消しようがなく、
いつまでも残り続けた。
カフカは大人になってもこの心の傷が癒えることはなかった。
母親は優しい人のようだったが カフカの理解者ではなかった。
もしカフカの身近に真の理解者がいたら 
カフカはもっと穏やかに過ごせただろう。

カフカは絶望や苦しみから 小説を生み出した。
でも カフカは後世に残る優れた作品を残すことより、普通の生活に憧れていた。
結婚し家庭を築き、
生まれてくる子供たちを育て、守り、
少しだけ導いてあげることに憧れていた。
しかし、結局 カフカは生涯独身だった。

カフカにとって「普通」であることは、
自分よりずっと上にある手の届かないものであった。

カフカの生涯を想う時 健気でかわいそうでならない。

最後のページのことばに目頭が がっと熱くなる。
『ぼくの本が
 あなたの親愛なる手にあることは、
 ぼくにとって、とても幸福なことです。
                   カフカ




昨夜 血を流し過ぎたため 今は無理だ。
でも あらためて カフカの作品を読んで見よう!

そういえば、最近 意図していないのに 
子ども(男子)と親との繋がりの作品ばかり読んでいるな~。