Memorandum of Haruki 'ハルキの備忘録‘

yahooさんから 引っ越してきました。どうぞよろしくお願いします。

⑤『ポストの子、初めてのショートステイ』

 明日から 5連休だ。
連休などの長期休みは親や親せきの家に行く子どももいて ホームは 少し静かになる。ボランティアの人が来て 動物園や水族館などに連れて行ってくれたり、ホームでお楽しみ会みたいなものをして楽しく過ごす。
僕は そういうのが苦手だし 疲れるので いつも図書館に入り浸りずっと本を読んでいる。
でも 今年は 中学受験の勉強をする予定を立てていた。
学習ボランティアのおばさん、こはるさんが 毎日来てくれるといいな。

僕は 昨夜 ホームの先生に呼ばれ 職員室に行った。
連休、ホームステイをしないかという話だった。
僕は 小さい頃から よその家庭で生活をすると泣きやまずチアノーゼになり、
かなり拒否反応をしめすし、僕自身 よその家で過ごすことが嫌だった。
そのことを先生たちも知っていて
僕にホームステイをすすめなかったのに ここにきてなぜ?

僕は 「休みはしたいことがあるので ホームにいます、」
と即答した。
先生は
「実はねえ、ステイ先は 村上こはるさんの実家なんだよ、
こはるさんがね、うちに来ればじっくり勉強見てあげられるから どうかなあ。
と言ってきたんだよ。
こはるさんは僕の友だちで人柄もよく知っているし こはるさんのお父さんは 
スターグループの会員だし、安心してまかせられると思って、、」

僕は フリーズした。
「えっ! こはるさんの家ですか?」

少し考えたが 
「こはるさんの家なら行かせてください。」
と先生に告げ 職員室から出た。
こはるさんに毎日教えてもらうことを考えると 頬が緩んでくる。
でも 僕は よその家で一人で過ごしたことがないし
小さい時のように 急に不安がとまらなくなったらどうしよう、、、

でも 行ってだめだったら すぐホームに帰ってくればいいや
もう僕は 一人でどこにでも行けるからな。




5月3日から5日まで2泊3日こはるさんの家でショートステイをすることになった。
こはるさんが3日の迎えに来てくれる、そして5日の夕方 こはるさんと帰ってくる予定だ。
こはるさんの実家は 岬町にある。
ここから電車で2時間くらいかかる。

家族の人達はやさしい人かな?

しっかりあいさつしよう。

いろいろ考えるより 今は勉強が第一だ。
とにかくたくさん勉強してこよう!

僕は ノート、筆入れ、着替え、はぶらし、タオル、
そして 図書室から3冊本を借りてリュックに入れた。


窓の外を見る。
ホームの藤棚の満開の花が 風に揺れていた。