Memorandum of Haruki 'ハルキの備忘録‘

yahooさんから 引っ越してきました。どうぞよろしくお願いします。

王様の耳はロバの耳『バイト。体調不良の不思議な原因①』

 
 貧乏学生な僕は 奨学金をもらっているが、それだけでは生活が出来ず
アルバイトに精を出している。
通っている学校は 国立で授業料は 私立の同じ学部と比べると破格の安さだ。
しかし 授業料、アパートの家賃や光熱費、食費などの出費、そして高い教科書等で毎月ぎりぎりの生活だ。そのうえ実習やゼミの活動などで時間がとられるので 定期的なバイトはできない。

 僕は、学校の事務のお姉さんといつも電車が一緒で だんだん親しくなった。
事務のおねえさんは、僕の貧乏に気づいてくれ、学校に依頼されるいいアルバイトを優先的に紹介してくれるようになった。
家庭教師のバイトの依頼が多く、時給も高く、したかったが、最低半年は継続しなければいけないので無理だった。
最初のバイトは 別荘として利用しているお屋敷の草取りだった。
夏が来る前に 庭の生い茂った雑草をとり庭をきれいにする仕事だ。
都合のよい日に1日行って作業すればいいので 僕にぴったりだった。
バイトを希望した2人で 日にちを決め 作業をした。
同じ学校だが知らない人だ。
朝9時から開始し 昼食も休憩のお菓子や飲み物付きで 3時ごろ終了した。
本当は 1時ごろには、草はすべてとり終えたが それで1日分のバイト料をもらうのは悪い気がして 雨どいにつまった枯葉をとったり、花の植え付けも手伝った。

品のいいおばあさんが 「助かりました お疲れ様でした。」
といって 僕ら2人に 白い封筒を渡した。
僕ら2人は お礼を言って 帰った。

一緒に仕事をした人は 芸能人でいうとピースの又吉みたいな感じの人で 
何もしゃべらず黙々と作業をするので 僕はすごく楽だった。

家で封筒を開けた。
ピン札で1万入っていた。
実働時給2000円だ。


こうして 僕のアルバイト生活は始まった。

いいバイトが入ると 事務のおねえさんが 学生に公開する前に教えてくれる。
その中で 病院のバイトが一番いい。

週1回でいいし 出られれば週3でもいい、それにいつでも休めた。
僕の仕事は パソコンにいろいろなデータを入力することと医療品や備品のチェックだ。
一緒に働いているパートの看護師のおばさん達より なぜか時給が高い。

おばさん達の方が どう見ても僕よりたくさん仕事をしているし 休まないし
僕の時給を知ったら気を悪くしそうだから、口止めされているわけではないが 
僕はおばさん達に僕の時給を知られないようにしている。


時々 夜間救急外来の泊りの仕事が入るが そのバイト料は 平日で2万5千円、
正月やお盆は 4万円だ。
その仕事は、月に1回くらいしかないが 患者が来ない時は ただ寝てるだけだから すごく楽だ。
病院が救急受け入れ病院の当番になった時、病院に待機して電話番と雑用をする。
病院の診療が終わる夜7時~次の朝8時までの仕事だ。
入院施設のない病院なので夜は 医師1名と僕以外誰もいない。
学校の勉強をしたり 本を読んだり、眠くなったら
点滴室にあるベッドで仮眠する。
入院施設はないが この町では 繁盛?している病院らしく、
いつも3人の医師が働いている。

看護師や事務員は  夜の勤務を嫌がるのか 無理なのか この仕事はしない。
医師もこの日は 2階の休憩室兼仮眠室で待機しているが 電話を受けたり 雑用はしない。
だから患者がいなければ 僕は 医師と顔を合わせることはない。


消防から電話連絡があると 病院の入り口を開け 電気をつける。
そして 2階の医者の仮眠室に電話をかける。
そして救急車が到着するのを待つ。

重体の患者は来ない。
けんかで怪我をしたとか よっぱらって転んだとか やけどをしたとか、発熱とか 腹痛とか
そんな患者が多い。

ほとんどの患者は 来る時は救急車 帰りは 自分で帰る。
死にそうな形相で来るが 帰りはすごく元気になって帰る人が多い。

診察して この病院では処置できない病気や緊急手術を要する場合は 
近くの大学病院に転送される。


患者が来ると 僕は患者の補助と会計をする。
補助といっても患者さんに手を貸したり ドアを開けたりする程度だ。
会計もこの時間の診察の点数が決まっているので それらを書いて計算するだけだ。
普通の診療時間のバイトで忙しい時、いつの間にか覚えた点数計算や会計の仕事をしているので困ることはない。

医師は 診療が住むと また2階に行く。
おしゃべでないので助かる。
僕は、入口の鍵を閉め、点滴室のベッドで寝る。

人のいない真っ暗な病院は 不気味だ。
非常口の看板だけが光っている。
でも 僕には この静けさと時々 なぜかカチャとなる金属音が心地いい。
僕はどこでも熟睡できる。

熟睡できすぎるので 消防からの電話が鳴っていたのに気がつかず
そのまま直行した救急車のサイレンにも気がつかず、
病院の入り口をガタガタさせ 「救急です!」という救急隊員の声で起き
急いで病院の入り口を開けたことがあった。
なんという職務怠慢。



不思議なことに 救急車がまったく来ない日と
頻繁に来て一睡もできない日がある。
なぜだろう。
寒いとか暑いとかに限らない。
満潮時に誕生して、引潮時に死亡するとか
満月の夜には事件が起こりやすいとか
そんなとこを聞いたことがあるが その真偽はわからない、、、、

自然の力が病に関与していることがある気がする。
風とかそれに含まれている大気の成分とか
草や木の発しているエネルギーとか
目に見えない力や科学で明かせない何かがある気がする。

だから みんながイライラしやすい日や病気になりやすい日があるかもしれない。

そう考えると なぜか心が晴れない日は 
自然の力がそうさせているのかもしれない。
だから そのことを必要以上に病むことは無意味だ。
自然の力なのだから 自分ではどうしようもないのだ。
その影響を受けやすい人や受けやすい時期はあると思うが
そういうこともある、そういう日もあると思って生活していくといつの間にか
気になっていたことや 原因不明な体調不良が なくなる場合がある。

すべての例には当てはまらないが 
人が解明できない自然の力は存在している気がする。


僕のバイト生活は まだまだ続く。






3限目が休講となった。
久しぶりに近くの公園のベンチで読書をする。
藤の花が咲き始めていた。