Memorandum of Haruki 'ハルキの備忘録‘

yahooさんから 引っ越してきました。どうぞよろしくお願いします。

③『ポストの子、中学受験の問題を解く』



学校の帰り道 ポピーが咲いている。
どこからか種が飛んできて それで増えたポピーだ。
通るたびに 花が増えて行く。

ポピーはえらいな~といつも思う。
誰にも世話をされないのに きれいに咲いて歩く人を楽しませていて、
僕に元気もくれる。

僕は 生まれた時からずっと世話をされて 生きてきた。
時々 みんなと違う境遇を呪いたくなる。
ポピーはすごいけど 僕はそんなポピーにはなれないと思う。

 

 昼休みに塾の算数の宿題をしている受験組の2人と少し話をした。
それで その宿題も見せてもらった。
僕は 学校のテストは ほとんど100点だし 自分でも勉強ができる子だと思っていた。
でも その塾の宿題は 全くわからない。
問題の意味はわかるが どう解いていいのかわからないのだ。
解き方を教えてもらう。
学校では習わない特殊算で解いていく。
こんな解き方があるんだ
おもしろい
2人の勉強の邪魔になると悪いから 一問だけ教えてもらい 他の問題4問は
写させてもらった。


ホームに帰り 勉強室に行く。

ボランティアで勉強を教えてくれる大学生が 今日は5人いて低学年の子ども達は、
学校の宿題を見てもらっている。
社会人のボランティアの人は 日曜祭日や遅い時間の時しかこないのに 
今日は、始めてみるおばさんのボランティアの人かな?もいる。
4年生以上の小学生は この時間帯は 外で遊んでいるので誰もいない。
僕もいつも図書室に直行しているのでこの時間帯にくるのはめずらしい。

昼休みに写してきた問題をといてみよう。
1問目は
「AさんとBさんが 同時に同じ地点から反対方向に出発します。
 Aさんの速さは分速50m、Bさんの速さは 分速75mです。
 AさんとBさんが 2km離れるのは何分後ですか?」
という問題だ。

どうして解けばいいのかなあ。
長い線をひいた図を算数の後ろのページに書いてみる。
ノートは 5mm方眼だ。
それで 線の真ん中に点をうち、そこから1分経過したと考えて左へ5ます、
右へ7.5ますすすめて点をうつ。そして また1分経過したと考えて点を打つ。
それを繰り返ししていたが ノートに引いた線が足りなくなる。

引いた線を見ていたら 同じ距離ずつ離れていくことを発見した。
それで 表を作ってみた。
分   1    2    3    4     5     6

離れる
きょり 125  250  375  500   625   750


分    7    8

離れる
きょり  875  1000


1000mで8分だから 2000mは、16分だ。

答えは 16分かな?

答えがないからわからないが あってるかどうか知りたい。

僕がきょろきょろしていたら ボランティアのおばさんと目が合う。

おばさんは にこっと笑い 僕のところに来た。

「なにか わからないことある?」

といって僕のノートを覗きこんだ。

「この答えが合ってますか?」

僕が聞くとおばさんは

「君 何年生なの?」

「6年です。」

「随分 むずかしい問題やってるね。
 これ学校の宿題?」

「いいえ。」

おばさんは 僕の隣の椅子に座り ノートを広げた。

それでささっと計算し 合ってるよと言った。

やった!と小さく机の下で握りこぶしのガッツポーズ。

僕は この問題を解くのに 30分くらいかかったのに
おばさんはあっという間に解いた。

どうして解いたらいいのか聞くと、僕のノートを見て そのやり方でいいよという。

でも僕は もっと早く解くにはどうすればいいか聞いてみた。

「考え方は 君と一緒だよ。
 まずAさんとBさんが 1分間に50+75=125mずつ離れていくから、
2kmつまり2000m離れる時間は 道のり÷速さでもとめられるんだよ。
2000÷125=16だから16分が答えとなる。
中学だとxやyを用いて解くことが多いけれど 
小学生では こうして解くのが一番早いかな?
これね。中学受験の特殊算の一つで旅人算っていうんだよ。」

僕は あっという間に解けるので、手品とか見てるみたいで びっくりしたけど
なんだか おもしろくなった。

僕が 「ありがとございます。」
とお礼をいうと
「わからなかったら また聞いてね。」
といっておばさんは、他の子どもの勉強の様子をみにいった。

僕は 2問目に挑戦した。
「ある仕事をAさんが 一人ですると10日かかり、Bさんが 一人ですると15日かかります。この仕事を2人ですると何日かかりますか?」

10日と15日だから
10+15=25
2人でするから 25÷2=12.5
だから 答えは13日かな?

今度は あっというまに解けた。

僕は おばさんを探した。
おばさんは 僕に気づくとまたにこっと笑って来てくれた。

おばさんは 僕のノートの問題を見ると

さささっと解く。

「答えは6日だよ。」

そう言って 僕のノートに書かれた計算と答えを見る。

「そうだね、平均を出して それが答えだと解きたくなる問題だね。」

「どうして 6日なんですか?」

「それはね、、、」

そういっておばさんは ノートに書き始めた。

「Aさんは 1日にどのくらいの仕事ができると思う?」

「、、、、わからない。」

「10日で仕事が終わるから Aさんの一日の仕事量は 10分の1だよ。」

「あっ そうか。」

「じゃあ Bさんの一日の仕事量は いくつかわかるかな?」

「Bさんは 15日で終わるから 1日の仕事量は、、、
 15分の1かな~?」

「そうだよ、よくわかったね。
 それじゃ 2人の1日の仕事量はいくつかわかるかな?」

僕は ノートに書く。

10分の1+15分の1=30分の3+30分の2=30分の5
約分して6分の1だ。

「6分の1ですか?」

「そう、よくわかったね。
 じゃあ 2人で仕事すると何日かかるかな?」

僕は 考えたが わからない、、、

「ヒントを出すね。
 2人がする仕事量は 1 だよ。
 2人が一日でする仕事量は 6分の1だよ。
 全体の仕事量と一日の仕事量の関係どうなっているかわかるかな?」


おばさんにヒントを出されて、、、

一日の仕事量×日数=全体の仕事量だから、、、

6分の1×□=1
□=1÷6分の1
□=1×6=6

だから 6日だ。

「6日になった。」

「そう 大正解。よく解けたね。」

僕は 机の下の両手のこぶしをぎゅっと力を入れてガッツポーズをした。

「これはね 仕事算っていうんだよ。」

「特殊算っていくつあるんですか?」

「一般の中学受験で使うのは 12くらいかな?
学校にもよるけどね。」

ありがとございます軽く頭を下げる。

僕は 3問目、4問目を解く。

おばさんが 他の子どもを見ていたので 大学生に教えてもらう。
でも その大学生は 中学受験をしてないので 答えは出せても 教え方がわからないという。
それで 他の大学生にも聞いてくれたが 中学受験をした大学生も解き方を忘れてしまい、わからなくて 困っていた。

おばさんがその様子を見て 僕に教えてくれた。
「中学受験の問題は 特殊だし 方程式を使わないで解かなければいけないから、
教えるのは難しいかもね。」
そう言っておばさんは すらすら問題を解き わかりやすく教えてくれる。
このおばさんは 一体何者なんだ?


2時間ちかくかかって ようやく4問解けた。
でも 一人でまた解けと言われたら 解けないかもな~

ちょうど6時の夕食の時間になったので 僕は 食事室に行く。

おばさんと話がしたいな。

おばさん ごはん食べていくかな?

おばさんを探したが 食事室にはおばさんは 来なかった。

また 来るかな~

また教えて欲しいな~

すごく難しかったけど また 問題を解きたいな~



僕は 夕飯後 いつもはテレビを見たり 本を読んで過ごすが
今日は また勉強室に行った。

勉強のボランティアの人は 3人いたがおばさんは いなかった。
僕はもう一度 さっきやった問題を解き直した。
それで 赤のボールペンで おばさんが言った大切な事を書いた。

明日 また 塾の問題を写させてもらおう、

僕は 運動会の時、学校からもらった新しいノートを出して
ランドセルに入れた。

早く 明日になるといいな。