Memorandum of Haruki 'ハルキの備忘録‘

yahooさんから 引っ越してきました。どうぞよろしくお願いします。

『燃えあがる緑の木』 大江健三郎

自分にとって、大江健三郎さんの作品は 難解だ。
すらすらと読めないし 何度もひっかかりながら 投げ出したくなりながら 前の文章を読み返したりしながら、ようやく読み終えた。
大江さんの作品は、他の作者にはない深さと真実とやさしさがあり、読んで良かったと思わせてくれる。

『燃えあがる緑の木』は 宗教をめぐる問題や原発の存在に真っ向から取り組んでいる作品で 森の谷間の村を舞台に、もとは男性であったが「転換」をへて女性となった両性具有の主人公サッチャンの目を通して描かれている。その中に 様々な人間が登場するが 大江さんやそのお子さんの光さんを思わせる人物も出てくる。大江さんの作品にはいつも弱者が生々しく登場するのは 親子関係に寄与するものが多いからだと思う。
また 人間のエゴや集団の怖さも描かれている。
宗教の暴走といえば オウム事件があったが その事件が起こる前に書かれた作品で預言書ともいわれているようだ。

大江さんの哲学を感じる部分が多いのだが、まっすぐ物事を正しく見ようとする部分に共感が持てる。
そして最後は希望が感じられ

「おのおのが辿り着く場所で、一滴の水のように地面にしみ込むことを目指そう!Rejoice!」

この言葉に救われた。



ムーミン谷の話
ティーティーウーは小さくて毛むくじゃらで、どうせ僕なんて誰も相手にしてくれないし、見向きもされないと思っている小動物。
旅の途中のスナフキンに話しかけ、どれほどスナフキンに憧れていたかを伝え仲良くなろうとしますが、スナフキンに冷たく

「あんまり誰かを崇拝することは自分の自由を失うことだよ」

と言われれる。。


大江さんとは 関係ないスナフキンですが 読後、この話を思い出しました。