Memorandum of Haruki 'ハルキの備忘録‘

yahooさんから 引っ越してきました。どうぞよろしくお願いします。

「七十歳死亡法案、可決」 垣谷美雨   他

「七十歳死亡法案、可決」 垣谷美雨



内容(「BOOK」データベースより)
高齢者が国民の三割を超え、破綻寸前の日本政府は「七十歳死亡法案」を強行採決。施行まで二年、宝田東洋子は喜びを噛み締めていた。我侭放題の義母の介護に追われた十五年間。能天気な夫、引きこもりの息子、無関心な娘とみな勝手ばかり。やっとお義母さんが死んでくれる。東洋子の心に黒いさざ波が立ち始めて…。
すぐそこに迫る現実を描く衝撃作!



衝撃的なタイトル。
中身は、ノンフィクション?エッセイと感じてしまうほどリアル。
老人、若者、介護を受ける側、する側、国の立場、といろいろな方面から問題を取り上げている。誰も悪くない。しかしどうにもならないことが山積みだ。
綺麗ごとだけではすまされない問題提起があり考えさせられた。
こういう関連の本って読みにくいけれど この本はコミカルな部分も多く、それぞれの感情が素直に表現されていて最後まであきないで読める。
自分がいろいろな立場の人間になれ、その人々への疑似体験することも出来、共感できる。だから同じ立場の人だったら かなりすっきりすると思う。
また話の最後は それなりのハッピーエンドで後味もよい。
この本のタイトルで70歳としたところがあざとい。
70歳というと老人の部類だと思う人が多いが、今の70歳はまだ働ける年でもあるし、まだまだ若いと思っている人も多いと思う。
80ではなく70としたところが なぜ70?と思い、読んでみたいと思ってしまう。



また垣谷美雨 さんの作品、『リセット』『夫のカノジョ 』『結婚相手は抽選で』はドラマ化された。すごく面白いって感じではないが 気負わず見れた番組でよかった。
なぜか後ひく作品で垣谷美雨 さんに興味をもった。

それで 垣谷美雨 さんの4作品を一気に読んだ。
『リセット』
  
内容 
ぼんやりした不安と不満を抱え、それでも平凡に暮らしていた三人の女性が、突然、高校時代にタイムスリップさせられてしまう。
未来の想い出”がリプレイされる毎日は、彼女たちの意識を少しずつ変えていく。
そしていま、再び新しい人生へ! 人生は変えられるかもしれない……。

「時をかけるおばさん」といった感じ。
乙女期?昭和を過ごした女性の生きにくさが描かれているが悲壮感がない。
3人の女性たちは 過去の記憶がありながらも 高校生活から 新たな人生を歩んでいく。人生には重大な選択を迫られることがある。しかし その選択次第で人生が変わっていく、相手や環境により変化していくのではなく 自分が行動しなければ 自分が変わらなければ 未来を変えることはできない。う~~ん、そのとおりだね。





『あなたの人生、片付けます』

内容 
社内不倫に疲れた30代OL、妻に先立たれた老人、子供に見捨てられた資産家老女、ある一部屋だけを掃除する汚部屋主婦……。
『部屋を片づけられない人間は、心に問題がある』と考えている片づけ屋・大庭十萬里は、原因を探りながら手助けをしていく。
この本を読んだら、きっとあなたも断捨離したくなる!

幸せに見えていても 誰しもいろいろなものを抱え 生きている。
それが一番現れるのが 部屋の状態なのかもしれない。
片づけ屋・大庭十萬里さんは 部屋だけではなく 心の整理もしてくれる。
最後の話には 涙が、、、
こんな人がいたらいいな~。







『子育てはもう卒業します』

 内容 息子を憧れの学校に入れるため必死なお受験ママの淳子、堅実な職業に就いてと娘の就活に口を出す明美、勘当同然で押し切った結婚を後悔する紫。
十代で出会った三人は故郷を離れてから数十年、様々な悩みを語り合ってきた。就職、結婚、出産、嫁姑問題、子供の進路…。時にふと思う。
私の人生、このまま終わるの?誰かのために生きてきた女性の新たな出発を描く物語

育てを卒業する話は、最後に少し書かれていて その他は3人の仲のいい女友達3人の生き様や友情が描かれている。なかなか思うように子供は成長していず、深刻だが、愚痴や不安がきっぱりと書かれていて、それがコミカルでもあり楽しく読めた。




『老後の資金がありません』

内容 「老後は安泰」のはずだったのに! 後藤篤子は悩んでいた。
娘の派手婚、舅の葬式、姑の生活費……しっかり蓄えた老後資金はみるみる激減し、夫婦そろって失職。家族の金難に振り回されつつ、やりくりする篤子の奮闘は報われるのか? 
ふりかかる金難もなんのその、生活の不安に勇気とヒントをあたえる家計応援小説。

葬式の費用や生活費などが 生々しくリアルに書かれていて おもしろい。
ドラマ渡鬼を見ているみたいな感覚で読めた。
いつかは老後だからね。他人ごとではない。
最後は 嫌な感じでなく終わるのがよかった。




 垣谷美雨 さんの作品で低価格のものを選んで読んだが、すべてにおいてエッセイのような現実味を帯びた作品で読みやすい。登場人物のモデルは実在しているような気がする。特によく出てくる女性達は みんな似ている。だから またこの人の登場かと思ってしまい少しあきる。また 登場する男性はダメダメな人ばかりである。
文庫化したら他の作品も読んでみたい。