没後50年 藤田嗣治展
台風の影響かあまり混雑してなくてじっくり観れた。
朝一番で会場入りし 出たのは昼近くになってしまった。
3時間近くいたみたいだ。
時系列で展示されていて その時々の自画像もあり 興味深く見られ
特に 乳白色と肌の表現には 感動した。
作品の中に吸い込まれるようだった。
それでいて 作品の人物や動物となかなか視線が合わないのがなんとも不思議だ。
作品は、126点あり 他に日記やスクラップブック、藤田が監督した映画の映像もあった。
また作品は「風景画」「肖像画」「裸婦」「宗教画」と時代により 大きく異なっている。
作品は、パリでの画家仲間の影響も受けているように思った。
互いに刺激しあっていたのだろう。
特に 親交の深かった モディリアーニの人物画と当時藤田が描いていた人物画は
似ている。
藤田は40代のころ 「私は、世界に日本人として生きたいと思う、それはまた、世界人として日本に生きることにもなるだろうと思う」という言葉を残しており この展覧会でもその事を美句として取り上げ 展示の解説でもその言葉で締めくくていたが
これは日本にとって都合のいい締めくくりだと思った。
藤田は 後年 戦争記録画をめぐるトラブル、日本画壇からの嫌がらせ、日本人の詐欺行為等 お人よしの藤田もさすがに失意し 孤独と疎外感に苛まれた。
しかしそんな藤田も、亡くなる2年前に自ら教会を建設し その壁画を描き
そのころには 日本に対する憎悪は消えていったようだ。
もしかしたら日本に対し、一番憎悪があったのは 藤田の若い妻だったのかもしれない。
印象深かった作品
釘付けになり、しばらくこの作品を見ていた。
そしてすべての作品を見終えた後 気になりまたこの絵を見にいった。
右目と左目の視線が違うが女性は何をを見ているのだろう。
そしてどんなことを考えているのだろうか。
花よりも枝や葉の表現が美しくて印象的
ずっと見ていたい。
優しくかわいい猫の絵が多いがこの作品の猫は 争っていて宙を舞っている。
これはドイツ軍が迫っていたパリで描かれた作品で藤田の心境を表したものなのだろうか。猫の凄まじいばかりの躍動感が見事だ。
ここに描かれた子供は存在しない子供のようだ。
藤田は「私には子供がない。私の画の子供が私の息子なり娘なり一番愛したい子供だ。」 といっている。
写真だとあまりよくわからないが 女性の肌の色は美しく質感を感じる。
また背景の黒との対比に引き寄せられた。
どうでもいいことなのだが、右端にいる白い犬がうちの駄犬と似ていたので見入ってしまった。この犬の白と女性の肌の白は 違う白だ。
コロンバンの缶入りクッキーを買った。
絵の感動を思い出しながら食べよう。
コロンバンは 日本初のフランス菓子店でその店の天井壁画を藤田が描いた。その絵は1974年に迎賓館へと寄贈された。